このたび特定非営利活動法人救急救命推進機構は、多くの関係者様のご尽力により、東京都に設立申請の手続きを完了いたしました。多くの方々の議論を経て、救急救命にかかる支援事業構想を企画してまいりましたが、今般新たな一歩を踏み出すことになりました。
我国の医療・社会保障費は、現在毎年1兆円を超えて増加し続けております。一方提供されるサービスにはさまざまな欠陥があり、多くの人に安心の医療社会福祉サービスが届けられているとは決して言えない状況です。これからは、地域の特性・要望に即し、住民に安心の行政サービスを地方自治体が積極的に取り組んでいく時代といえましょう。救急救命推進機構は、地方自治体の行政サービスの要となる高度医療情報サービス体制の確立と運用を救急救命の立場から提案してまいります。
救急救命医療は、迅速性が求められます。一方で交通事故、作業中のケガ、突然の持病の悪化など、救急救命医療を必要とする患者の様態は多岐を極めます。また、患者も老若男女、体質もさまざまです。このような現状で患者個々の基礎医療データ(アレルギー、既往症などいわゆる問診内容)を正確かつ迅速に取得することは救急救命医療の初めの一歩として極めて重要なことです。
今までも、救急救命は人手のかかるサービスと言われながらも、救急救命分野での画期的なIT活用型のサービスはほとんど実現しておりませんでした。その理由は、救急救命の特殊性があり、どうしても限定された地域単位での合意形成、および展開が限界とされていたためと推察しております。
救急救命時、救急車内で、救急隊員による基礎医療データの聞取りが行われていますが、これが実は大変な作業で、平均的にも30分程度の時間を要しています。患者にとっても救急隊員にとっても大きな負担であり、救急救命時にあっては貴重な時間の無駄となっています。若年の方ももちろん、特に高齢者にあっては、自身の基礎医療データを救急救命時(自分が苦しんでいるとき)に、的確に伝えることは困難なことです。救急隊員側も増加する出動要請に限られた資源(人員、車両など)で対応するために、何とかして一回の出動時間の短縮を模索しております。
さらに、これは、聴覚障害者などからだの不自由な方、幼児、小児を持つ保護者など、救急救命時に迅速的確な対応を迫られながらも、それが容易でないケースは益々増えています。
特定非営利活動法人救急救命推進機構は、こうした皆様へのサービス展開も行ってまいります。
特定非営利活動法人救急救命推進機構は、救急救命の医療現場への対応として基礎医療データ配信サービス「救急カード」に加えて、独居高齢者のQOL(QUALITY of LIFE)向上を目的とした「救急カード」と連動する「ハローコール」のシステム構築・実施をいたします。同インフラの日本全国に展開を図り、事業の継続性を維持すると共に、高齢者のみならず、だれでも、どこでも迅速な救急救命対応を受けることができる社会環境の構築を目指します。
特定非営利活動法人救急救命推進機構は、これまでの常識にとらわれず、効率的で有用性のあるサービスの中枢部分の基礎構築を行い、これを地方自治体に長期継続的、かつ分散運用の形で提供することで、広域を標準的にカバーする救急救命情報サービスを無理のない費用での提供を実現いたします。
今後は、より一層公益目的に沿った事業の充実を図るとともに運営管理体制を整備し、全国の救急救命の新たな体制づくりに寄与すべく努力してまいります。
なにとぞ、皆様方の一層のご指導ご支援を賜りますよう、今後ともよろしくお願い申し上げます。
特定非営利活動法人 救急救命推進機構(申請中)